人と空間

あたりまえすぎて、ふだんほとんど考えないことだけど、人は、必ずどこかにいなければいけない。
どこにもいないで存在することはできなくて、「人」と「どこか」を切り離すことはできない。
どこかというのは、ほとんどすべて、空間という言葉に置き換えてもいいかもしれない。

ふだんわたしたち(…とくに建築の仕事をしている人)は、空間のことをスペースと言ったりする。英語で「Space」。「Space」という言葉は、宇宙のことも指す。・・・わたしは英語が話せないし、英語の文化にまったく明るくないけれど、わたしがふだん身を置いている「空間」を指す言葉と、「宇宙」を指す言葉に同じ言葉があてはめられているのは、とても意味深いような気がする。

宇宙というのは、ふだんまったく意識しないけれど確実にそこにあって、無いということはあり得ないけれど「無」という表現が、ちょっとしっくりきたりする。とても不思議な存在・・・。「存在」という言葉すら当てはまらなそうな気もする・・・。

宇宙に思いをはせると思考はどんどんふわふわしてくるので、このあたりで、空間の方に帰ってくると…

空間というのは具体的なものを指す言葉というよりも、宇宙と同じように、確かにあるんだけど指をさして示せない雰囲気というか、今ここには無いようなことまで含んで空間と呼ぶような気がする。

住宅の場合、建築物としての家と、その家での営みと、空気質のようなものなど、ありとあらゆるものやことが交わり合って、空間ができている。人が住む家と人が住んでいない家が、同じものが置いてあったとしても、なんだか感じが違うのは、そういうことを人が感じているからだと思う。

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