新しい土地や環境に身を置いたときの、気持ちの切り替え方について質問をいただきました。

5,生きること

新しい土地や環境に身を置いたときの気持ちの切り替え方を伺いたいです。過去が良く見えます。…というご質問をいただきました。このことについて少し書こうと思います。

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わたしは小学生のころ、2回転校をして3つの学校に通いました。
最初の小学校…小学校低学年のころは、友達の前ではひょうきんで友達の前でおどけて見せたりするようなタイプだったのですが、転校するたびに寡黙になり、友だちの数も減っていきました。

中学生の時、いじめにあったのですが、最初に通っていた小学校にずっと通い続けて、そこで中学に上がっていたらこんなことにはならなかっただろうなぁ…と、思っていました。

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中3で進路を決めるとき、家にお金がなくて、滑り止めを受けられませんでした(=私立の学校には通えない)。
もし、落ちたらどうなるんだろう?という不安から、進学校の試験を受けるのが怖かったということと、高校を卒業したら働くつもりで、受験をしなくて済んだ工業高校に行くことにきめました。

工業高校に通い始めると、やっぱりもっと勉強したかったなぁ…という思いがあって、進学校に行けばよかったなぁと、思っていました。

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工業高校から、新聞奨学生という制度を使って、なんとか自分でお金を稼いで学費の高い私立大学の建築学科に進学したけれど、苦しい思いをするたびに、工業高校ではなくて進学校に行っていたら、国公立の大学に通えていて、何か違ったかもなぁと思ったりしていました。

新聞奨学生という制度は、新聞販売店に住み込みで、毎日朝夕刊の配達をして、月末には集金をして回る…という仕事をする代わりに、一定額の学費や、生活費として給料まで出してもらえる制度です。朝刊は毎朝3時スタートで、夕刊は夕方4時半ぐらいからです。休みは毎月1回の休刊日だけです。新聞配達は小5からはじめて、修士課程修了までの14年間ずっとつづけました。

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就職活動で、いくつか内定をもらってその中のひとつの建設会社に就職しました。
その会社で、悩んで辛いと思った時、あの時内定をもらったあの会社を選んでいたら、選んでいたらもっと
違ったかもなぁと思ったりしました。

その後、住宅の会社に転職して、やっぱり何か違う…と思った時には、そもそも高校の選択がやっぱり間違ってたんじゃないかと、うんと過去までさかのぼって自分の選択を恨めしく思ったりしました。

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そんなことを思っているときに、ある家に出会いました。その家は、それまでにわたしが知っている家ではなくて、はじめてこんな家に住みたいと純粋に思った家でした。

そして、その家をつくっている会社に転職して、今もそこで働き、その家を建てて家族みんなで暮らしています。
もう、過去の自分の選択を恨めしく思うことはありません。これまでの過程があって、今の、この毎日があるんだと、とてもありがたく思っています。

あのときこうだったら…と思っていたころは、私は運が悪いと思っていました。
でも、今では、私は本当に運がいいと感じています。

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これまでの選択のうち、どれかひとつでも違うものだったら、今ここにはいないのだと思うと、昔、ここじゃない方がよかったなぁと思っていたすべての場所は、実はすべていちばんいい場所だったんじゃないかと思ったりします。

あの時こうしたらよかったかもなぁと思うということは、現状に不満があって現状を変えたいと思っているということ。・・・後ろ向きな思いが思いの全部を占めそうになるなかで、全部の思いのうちの2割か3割ぐらいかろうじて心にあったのは、もう過去には戻れないのだから今から選ぶことのできる選択肢の中で、いちばんいいと信じる方へ進もうという気持ち。

少ないながらも、その思いがいつもあったおかげで今、もうこれ以上はないと言えるぐらい自分にぴったり合うところにたどり着くことができたような気がします。それは、家族も、仕事も、毎日生活する家を建てた場所も・・・全てにおいてそう思います。

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「気持ちを切り替える」というのが、たとえ難しくても、前向きな気持ちが少しでもあって、ほんの少しずつでも前に進み続けることができたなら、やがて、気持ちを切り替えようとしなくても、自然と心が晴れわたるそのときがやってくるんだと、今は思います。

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