杉板外壁(経年変化とメンテナンス)

1.家のこと

杉板外壁(すぎいたがいへき)…里山の小さな家では鹿児島県の杉を使った外壁の仕上げ。


概要

厚みは15㎜あり(22条地域では30㎜)防腐・防蟻のためにホウ酸を注入した杉材。

ホウ酸は雨などの水に長い時間触れることで溶脱してしまうので、
撥水性の高い塗料「ウッドエイドカラーA」で表面を保護している。
塗料は工場で塗布され表面だけではなく裏面を含めた6面塗装されている。
杉板は外壁として貼られる際に、大工の手で切断されるけれど、その切断面も大工が現場で塗装している。

真鍮ビスで固定

ふつう、このような木の外壁材を固定するのは釘であることが多いけれど、里山の小さな家では真鍮ビスで固定されている。
真鍮ビスで固定する理由は、外壁を張り替える際のメンテナンス性を考慮して張替えがしやすいようにビスであること。
そして、錆びて強度の低下が起こりにくく、外壁の経年変化の味わいに追従できる質感をもつ素材として真鍮が用いられている。

経年変化とメンテナンス

上の写真は築7年目の北面、木目の硬い部分(冬目)の部分の塗装が少しずつ落ち始めることで
履き古したジーンズのような味わい深い表情を見せている。
外壁の”持ち”を考慮すると築10~15年ぐらいを目安に再塗装されることが望ましいけれど、
経年変化の味わいを好んで塗装をしないことを選択するユーザーもいる。

築数十年の古民家の杉板壁材の厚みが7㎜程度であること、防蟻・防腐の薬剤が注入されていないことを考えると
塗装をしないという選択でも、20年~30年ぐらいは外壁としての機能を保持できるのではないかと
里山の小さな家の住まい手加賀江は考えている。
ちなみに、この外壁の塗装は新築時工場で1回目の塗装を施したものの上に、住まい手である加賀江が現場で2回目の塗装をした。

新築時、自分で塗装した木の外壁

杉板外壁の良さは、好みによるが経年の味わいを楽しめること。
化粧サイディングに比べ、部分的な取り換えができることや再塗装時のメンテナンスコストを抑えられるなどの利点がある。
また、塗装に特殊な技法などを要しないため足場さえあれば素人でも再塗装することができる。
住まい手が自ら塗装することで、大幅なメンテナンスコストの削減ができ、また、住まいを自分の手で手入れをすることで
家への愛着を深める事が出来る。

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